第49回「新多聞酒蔵」@大阪天満

週末の昼酒タイムを終え、さてもう一軒、と歩いていたら懐かしい店に辿り着いた。眩しい看板、紺地に白抜き暖簾。酒場然とした姿、変わらへんなぁ…。いや、何かちゃう。昔から知る店名の頭に「新」の文字が増えている。「新多聞酒蔵」。この9月からオーナー交代により新体制が組まれたそう。カウンターが奥へと伸びる店内はグッと明るくなり、ご夫婦と奥様のお母さん、時には高校生の娘さんが笑顔で迎えて下さるアットホームな雰囲気に変わった。「新」はそれだけやない。女性陣の作る家庭料理に加え、マレーシア出身のご主人”はんちゃん”による多国籍料理が楽しめるんやて!夏にマレーシアを旅行したばかりの私、この出会いは酒の神様の思し召しやろか。
ほな早速、東南アジアで人気のタイガービール片手に、”はんちゃん”のお料理いただきましょ。アジアの定番料理、空芯菜炒めは、シンプルゆえに炒めの手際の良さが要になる。ウマイ!一見、普通の唐揚げながら、食べるとふわっと香るシナモンがクセになるアジアン鳥唐揚げはビールとの相性抜群。マレーシア黒焼そばと称される福建麺(ホッケンミー)、これも好きやねん。見た目の黒さとは裏腹にコクと旨味の甘辛味。ソースが太麺に満遍なく絡み、思わず白飯を欲してまうねん。あちこちから注文が入る、おそらくお店一番人気の四川麻婆豆腐は、調理最中の刺激的な香りで咳き込むお客さん多数。笑いとともに我が元にやってきたそれをレンゲでたっぷり掬って頬張ると、なめらかな豆腐がトゥルンッと舌を滑り、まず旨味がやってくる。「辛めで!」とお願いするも、全然ヨユーやん。と思っていたら、徐々に汗がじんわり、毛穴が開いていくのが分かる。ウマイ!カライ!でもウマイ!勢いで食べ進め半分ほどして小休止。日本の味、おでんの玉子でホッと一息。東南アジアから日本に帰ってきたで。手軽にグルメ旅が出来てまうんやわ。〆飲みはハイボールと辛ピーナッツ。これもほんのおつまみにと頼んだら、汗再び。うぬ、侮れん。
家庭料理を求め、はたまたご主人の多国籍料理を求め、開店一ヶ月半にしてすでに常連がつく人気店。おじさまのオアシスだった以前とは一転、ヤングなカップルが「唐揚げ、マーボー、チャーハン!」というヤングな頼み方をしている向こうからは、御仁が「空芯菜とどて焼き!」なんてオツな注文をする世代の交錯もおもしろい。有名レストランのシェフも訪れるという本場の味を立ち飲みでお手軽に。あかん、えぇ店に出会ってしもたわ。

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